給特法の改悪について盛り上がっているので現時点での考察
給特法「改悪」!?
Twitterでの教員垢界隈で、盛り上がっている給特法改正の話題。
なんかもし改正されたら50年振りだとかなんとか。
だけど、ものっっっすごい「改悪」なんじゃないか、って話。
どうすんのこれ、まじで。
— 藤野 悠介@先生なのに会社経営してます (@thankstoryu) 2019年8月28日
先生方に切迫感まだないかもしれないけど、
導入されたら顧問拒否できなくなる可能性も。
子育て世代の先生方も大打撃。 pic.twitter.com/qKBQmzDDFu
そもそも給特法って?
文科省のページ(時間外勤務に関する法令上の根拠)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/031/siryo/07022716/003.htm
ここに書いてある給特法についてポイントだけ言うと。
給特法とは、
「教職員は、超勤4項目※において残業を命じて良い」
「その代わり給与調整額4%が支払われる(それ以外の手当はつかない)」
※超勤4項目・・・①生徒の実習
②学校行事
③職員会議
④非常災害、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合等
まぁこの中に部活動、とかが入ってなくて、建て付け上は教師の自発的な活動()ということになっているので、実質「法令に定められない仕事はたくさんあって、絶対に時間外労働をしなきゃならない状態なのに、残業代がもらえない」だけの法律になっているので教員界隈は問題視してる、悪名高い法律なわけです。
い、一年単位の変形労働時間制導入??
で、今回の給特法改悪の話。
どうすんのこれ、まじで。
— 藤野 悠介@先生なのに会社経営してます (@thankstoryu) 2019年8月28日
先生方に切迫感まだないかもしれないけど、
導入されたら顧問拒否できなくなる可能性も。
子育て世代の先生方も大打撃。 pic.twitter.com/qKBQmzDDFu
教員界隈が危険視してる「一年単位の変形労働時間制導入」
まだ文部科学省(内閣府)は法案を提出していないようですが、文科省が出している工程表の中に、たしかに「一年単位の変形労働時間制導入に向けた制度的検討」とあります。(2ページめの真ん中下らへん)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/__icsFiles/afieldfile/2019/01/29/1413144_4_1.pdf
「一年単位の変形労働時間制」っていうのはつまり、
「繁忙期は、忙しいから10時間労働しようぜ」
「閑散期は、暇だから、6時間労働(学校でいうと15時帰り)な」
って感じで、1年間で「勤務時間量を均そうね」って主旨だと思います。
で、なんでこれが問題なのかと言うと。
日々の部活動やその他雑務が、がっつり『業務』として命令できる。法律で認められることになる。ってことにあるんです。
というのも、前述したとおり、これまでの給特法において、勤務時間外に命じることができるのは、「超勤4項目」だけなんですね。つまり、これまでは、「17時以降の部活動を監督する義務は教員にはない」状態だったんです(でも断れずにやっている教員がほとんどだと思いますが)。
けど、この改正案(まだ正式には出ていませんが)が仮に通れば、正式に残業を命じる(というか時間外じゃなくなる)ので、管理職は大手を振って部活動でも校務分掌でも夕方19時20時まで命じることができるだろう、ってことです。
教員として最作のシナリオ
仮に「一年単位の変形労働時間制」が採用されたとして、
「最近忙しいから明日から、19時まで仕事してね〜(その分多めに仕事用意しといたから)。あ、その分、夏休みになったら15時頃帰っていいよ〜。それで1年通してチャラだよね」
が正式に可能になる。これ、ちょっと考えても教員にとってまったく嬉しくないです。
だって、今でも夏休みは帰れる日にはどうせ年休使って早く帰ってるんだもん。というか、1年のうち、夏休みしか年休を消化できる時がないですからね。それでもほとんど消化しきれない教員のほうが多い気がする。
今でももともと退勤時間+2時間くらいはデフォです。それでも、自分自身で「早く帰る日」と「遅くまで仕事をやっつける日」が多少仕事を配分してコントロールできるだけマシですが、「命令によって退勤時間が伸びる」ってことはそれすらできなくなりますからね。
まぁほとんどの教員は嫌なんじゃないですかね。嬉しいのは仕事をいっぱいさせたい管理職くらい?
といってもまだ何も決まってない話
法案がどんな内容なのか?通るのか?通ったらどのように運営されるのか?自治体ごとの判断か?各学校の裁量か?
私の調べる能力が不足しているかもしれませんが、少し調べても、ほとんどその内容については明らかにされていない。決定したことではありません。
正直完全実施は不可能だと思う。
仮に法案が通って仕事を命じられても、「どう頑張ってもできない」職員は絶対にいます(子育て・介護)。
私自身ももし退勤時間が19時になったら、辞めざるを得ないと思います。絶賛子育て中なので。
管理職も管理職で、
校長「明日から19時退勤時間にします」
ママ教員「無理なので辞めます」
パパ教員「無理なので辞めます」
介護あり教員「無理なので(略)」
になるのは明々白々なので、なかなか取り入れづらいでしょう。
また、学校や地域によって業務の内容も様々なので、「一年単位の変形労働時間制」をうまく使える学校もあるかもしれません(その場合、管理職にその判断が求められるのがネックですが)。
そもそも業務を改善してほしい、ってことなのに・・・
しかし、どこから「一年単位の変形労働時間制」って話出たんでしょうか。もともと、
「仕事多過ぎて、退勤時間までに終わらない」 ってのは「仕事減らしてくれ」って意味だったのに、
「あ、それなら教員の勤務時間伸ばしとくね(仕事は特に減らさない)」って発想な気がするんですよね。これが、教員界隈から批判が湧いてる原因だと思ってます。
悪くなる、って決まったわけじゃないけど
ちなみに、ここまで話したことは、現状ではほとんど推測です。まだ何も具体的なものが役所からは出てきていないので。
これまで学校システムや教員の業務について、文科省には絶望させられ続けてきた教員たち。最悪のシナリオを常に考えるクセがついちゃっていますからね。まぁ反発や不安も当然でしょう。
もし環境が悪くなったなら、自分が壊れる前にみなさん辞めましょうね。
逆に、環境よくなるかもしれないし、現時点であれこれ考えてもしょうがいないような気がしている私でした。