グレ教員の日々の感想

学校嫌いな小学校支援学級教員。日々の思いを忘れないように書くブログ。子育て、学校、読んだ本とか。専門は発達障害支援。

【小学校】運動会のダンスって要らなくない?って思った話。

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先日、今の職場で初めての運動会が終わりました。
当日はそこそこ私自身も楽しんで参加できたのですが、当日までの1か月の練習期間は地獄でした。
特別支援学級の子は、運動会が苦手な子が多く(体力がない、非日常が苦手)無理させたくないのが本音なのですが、運動会という全校の場で失敗させたくない、っていう思いもありますので、かなり気をつけてサポートしていました。
さて、特別支援学級担任は、運動会の練習の指導に主で立つことはないので、運動会の練習の様子を比較的客観視できた気がします。
 
その中でふと気づいたことがあるのですが、本校の運動会でどの学年も発表していたのが「学年全員でのダンス」。
私、このダンス発表が運動会にいらないんじゃないかと思ってしまったんですよね。今日はそんな話をつらつらと。
 
※この記事で述べることは、すべて、「私の勤務校に限った話」であり一般化するつもりはありません。いろんな学校の状況ややり方があると思うので、「ダンス発表」そのものを否定したいものでもありません。あくまで自分視点での所感。
 

ダンスがいらないと思った理由。

①練習が大変でイライラする。

まず教師側なのですが、ダンスの考案(曲決め、ダンスの振り付け、隊形)がまず大変。その後、子供たちに指導するのが本当に大変。それぞれ習得のスピードが違う100150人くらいに一斉にダンス教えるのとかやばい。
そして子ども側もめちゃくちゃ大変。春運動会・秋運動会どちらにしてもだいたい1ヶ月そこらしか練習期間がなく、毎日のように1日1時間~2時間以上、場合によっては夏休みなどのダンス練習を強要される。練習期間がないのでハイペースになるんですよね。踊るのが好きな子はいいが苦手な子にとっては苦痛でしかない。
 
練習が大変であると何が起こるかというと、子供も大人もイライラします
練習中、隊形移動がうまく覚えられなかった子供に対し、別の子供が「ちゃんとやれよ!」みたいな強くあたるのを何度も見ましたそして何より、運動会練習中の先生たちの子供たちに対する怒鳴る回数と多さといったら。時間も限られていて、広いグラウンドでやっているから怒鳴りたくなるのもわかりますが。子供たちだって全員がやりたくて
やっているわけじゃないのですから。暑い中我慢してやっているのに、怒鳴られたりするわけですからまぁやってられませんよね。
面白いのが、「綱引き」や「リレー」みたいな練習では教師の怒鳴り声って激減するんですよ。教師が怒鳴ってるのはだいたいダンス練習の時。
 

②子どもの自主性が入り込む余地が少ない。

秋運動会の場合、だいたい夏休みに学年の先生たちが相談してダンスの振りや曲を決めるため、子供たちがこんなダンスをしたい!という気持ちが入りにくい。
自主性が入りにくいってことは、子供たちからすると「やらされてる」感が強くなるってことです。学習はすべて共通なのですが「やらされる」感が強くなればなるほど、その習得の効果は薄くなります。
 

③現状子どものためよりも親のため、になっている

ダンス練習をしていると、ダンス担当の先生自身が子どもたちに「お父さんお母さんを驚かせてあげましょう」とは言うのですが、「これをすればあなた自身に〇〇の力がつきます」とは言わないんですよね。このことから、運動会のダンスというのは「観客に喜ばせるためのもの」が本質だと思っています。
そんなんだから、運動会のダンス指導といえば、振り付けのかっこよさとか個人のキレとかはあまり重視せず、曲中の移動とか隊列変化に時間を割いて、「全体の見栄え」を重要視しています。個人のダンス能力の向上はあまりどうでもいいや、ってスタンスってことですね。確かに、隊列を派手にすれば見てる側からすれば見応えはあるのかもしれないけれど、子ども一人一人は「ダンスを楽しむ」とか「ダンスが上手になる」って感覚が薄くなる。隣の子供と合わせる能力は上がるけどね。
運動会が「ダンス発表会」って名前であるならば、観客意識の演技もわからなくはないけど、運動会っていうのは「日頃の体育で培った力を発揮する場」だとするならば、付け焼き刃のこの時限りのダンス練習自体は意味あんのかな、って思います
 
①②③より、「労力の割に、教育的効果が低い」のでは?と思ったのが正直な感想ですね。
当日のこどもたちの様子見ていたら、各学年のダンスよりも、綱引きや玉入れ、リレーを注視して一生懸命応援していましたよ。あの一体感が運動会の教育的意義だと思うのですがね。

ダンスが感動的なのはわかる

集団でやるダンスって確かに泣けるのはわかるんです。親御さんはじめ観ている側も「子供たちがこの日のために頑張ってる姿」が想像できるから泣けるのではないでしょうか。私もあの手の団体演技には弱いクチだったんですが。
でも今年度初めて、児童をサポートする側に入って、「教師にやらされている子供」の構図が見えるとね、なんか泣けなくなっちゃいました。なんかホントに大人たちの自己満足に子供たちを付き合わせているだけじゃないかな~、って。まぁ自分でもひねくれてるな、って思います正直ね。
 

といっても変わらないんだろうが。

仮に私が勤務校で「来年度の運動会ではダンス発表しない案」を提唱しても、まず通らない。それはわかっていますよ。先生も保護者も集団ダンスをこんな視点で見てはいないでしょうからね。でも私自身は、今から来年度の運動会を想像してブルーです。それくらい集団のダンスに疑問を持ってしまった。
 
全国的にはどうなんでしょうかね。私がこう思うのはうちのダンス指導がよくないだけなんでしょうか。ダンス発表にも、子供の自主性が入り込む指導をしている学校はあるのでしょうか。
麹町の中学校の運動会の例もあるし、運動会も改革するポイントいっぱいありそうだな~、と思いながら代休月曜休みの夜をすごすのでした。