「文系でもよくわかる世界の仕組みを物理学で知る」を読んだ感想
AmazonのPrimeReedingで読んだので感想を書いてみる。
著者は高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所教授の松原隆彦先生。専門は宇宙論らしいです。
本の概要
「物理学」が我々の生活にどう結びついているのかを解いた本です。計算式がほぼなく、そういった計算式にあまり馴染みがない人(=文系)も読み物として読めるような構成になっています。
1章 物理学で世界の見方が変わる
2章 物理学者の正体
3章 空の上の物理学
4章 私達はなにを見ているのかー光の話
5章 すべては粒子でできているー素粒子、原子、分子の世界ー
6章 時間はいつでも一定かー相対性理論を考えるー
7章 意識が現実を変える?ー量子論の世界ー
本の感想。
「よくわかる」と書かれているが・・・
少なくとも子供むけではないと思います。
よくある「なんで〇〇は〇〇なの?」みたいな本って沢山あると思いますが、どっちかっていうと新書っぽい構成なので、大人向けだと思います。
大学くらいまで理系の勉強をしている方ならもしかしたら常識的なことかもしれませんが、それ以外の方にとっては何かしらの新たな発見があるのではないかと。私の中では「物理を中心とした教養本」と位置づけて読んでいました。
また、文系でもわかる、といいましたが、高校レベルの数学・物理と化学をかじっていないと厳しいかも。特に4章以降の光の話は、粒子・量子の概念をもとに話しているので。説明はしてくれていますが、「原子って何?」レベルの教養だと読むのしんどいと思います。
ただ、高校の学習くらいはなんとかわかります、ってレベルなら全然読めるのかな、と。私も大学は理系ではなかったですが、おもしろい、と思いながら読みすすめることができました。
小学校教員、結構おすすめかも
結構小学校の先生やってると、子供に「なんで空は青いの?」とか聞かれるじゃないですか。その中で「光が散乱するからだよ」とかすぐに言えたほうが話広がるから、教養は多いほうがいいと思ってます。
そういったネタもいくつかあるので、普通におすすめ。
そんなにじっくり読まなければ60〜90分位でよめますし。章ごとに話題が変わりますので(4章以降はつながってるけど)読みたい章だけ読んでも全然教養増えます。
使えそうなネタ
「なんでLINE(本文ではメール)は他の人には届かず自分に届くのか?」
「なんで3D映画は立体に見えるのか?」
「(ポケモンGOで使われるような)GPSはどういう仕組みか?」
個人的に学んだこと
アインシュタインの相対性理論
「アインシュタインさんが相対性理論を考案した」くらいは知ってたんですけど、そういえば、相対性理論を説明しろ、って言われれば無理でしたね。この本読めば丁寧にわかりやすく書いてあるので文系の教養って点ではよいかと。
動いているものと止まっているものの時間の流れ方が異なる、というアインシュタインが最初に提唱した「特殊相対性理論」と、
重力の正体が時空間のゆがみであることをもとに、「特殊相対性理論」を一般化した「一般相対性理論」の2つがあることも初めて知りました。
GPSのシステムには「一般相対性理論」「特殊相対性理論」の理論が使われていること(地球と人工衛生が受ける重力が違うことや、高速で動く人工衛星と地上の時間の流れが違うことで生まれる誤差を、理論をもとに修正する)。
アインシュタインは、相対性理論を頭の中で作り、後から実験で証明した、という点が天才と言われる所以だということ。(普通は実験結果から理論を構築する)。しかも、公務員をしながらアマチュアで論文を書いていたらしいから、かっこよすぎ。
一般相対性理論の効果は現実世界ではほぼ感じられないがスカイツリーの屋上と地上では、100億分の1秒ほど時間の進み方が違うみたい。
スーパーカミオカンデの本当の目的
2002年小柴昌俊さんがカミオカンデで電子の仲間の「ニュートリノ」を観測してノーベル物理学賞。2015年に梶田隆章さんがスーパーカミオカンデでニュートリノの振動を発見してノーベル物理学賞を受賞。
ってことで、私もスーパーカミオカンデは「ニュートリノとやらを観測する機械」なんだと勝手に思っていましたが。
本来の目的は大量の水を入れたタンクの中で、陽子の崩壊を観測するものらしい。(陽子が崩壊するならば光が出るはず)でも、まだ陽子の崩壊は観測されていないらしい。代わりに偶然にも宇宙から来たニュートリノが発見されたらしい。いや〜、普通にニュース見てただけでは知らんこともあるよね。
まとめ
読み物として普通におもしろかった。
多分教員とかやってたら話のネタになるから教養としてよい。
AmazonPrime入ってる人は無料で読めるしぜひ。
あとがき
続編が出てるらしい。PrimeReedingにはないので買おうか迷い中。