グレ教員の日々の感想

学校嫌いな小学校支援学級教員。日々の思いを忘れないように書くブログ。子育て、学校、読んだ本とか。専門は発達障害支援。

特別支援でオンラインってどないすればいいの、って話。

コロナ禍で、感染が広がっている地域では、小中学校を休校にしてオンライン学習にシフトしている学校が多いらしい。

コロナの収束するかどうかに関わらず、オンラインでも学習できる(成果をあげられる)ような人材が今後は必要とされる。なので教育者側もそういった人材を育てるような指導をしていかないといけないとは思う。

 

 

ただ、オンライン化していく教育の中で特別支援教育って一歩も二歩も十歩も遅れてるな、って思ってて、どうにかしたいけどどうすればいいかわからない、っていう悩みをだらだら書いているのが今回の記事。正直他人様の身になるような記事ではないことには自信がある。

 

私の勤務する知的の特別支援学校では、地域の感染拡大を受け、「2学期はとりあえずオンライン学習できる子はする。」ということになった。「できる子は」ってのがどういう意味かは後述するが、私の学校は、比較的障害が軽度で、小中学校でやっているような学習が可能な子供から、重度重複障害といわれる、言語でのコミュニケーションが困難な子供まで幅広く在籍していて、まぁ多くの特別支援学校とだいたい同じ状況だろう。

 

そもそも、特別支援を受けている子供に対してのオンライン学習は通常小中学校に比べてかなりハードルが高いってことを、昨年4月、つまり一回目の緊急事態宣言のときに痛感した。

 

ハードルってのは主に、

1.子供がiPadとかパソコンなどの端末を操作できるか?

2.子供とオンラインでコミニュケーションが成立するか?

3.子供のニーズにあった教育活動をオンラインで提供できるか?

の3つかな、と個人的には考えている。

 

私の勤務校での話をすると、「1.端末操作」をクリアできる子供がすでに50%を切る。この時点で半分以上のお子さんに対して「教師⇔児童生徒」という形式が難しくなることを意味するが、仮に「1端末操作」をクリアしても、「2.コミニュケーション」が難しい子がいれ、それがさらにその半分くらいだ。

ここ最近、児童生徒とiPadを触ってテレビ電話したりして遊んだりしている中で知ったことは、知的障害をもっているお子さんの中には、対面での普通の会話はできても、機械を通したテレビ電話をすると、著しくコミュニケーションができなくなる子が結構多いってことを体感している。理由は正直わからないんだけど、話し手の内容を聞けてなかったり、注意が散漫になったりして、テレビ電話を通すと全然会話が成立しない、みたいなことが多々ある。これが、「1.端末操作」をクリアしても「2.コミュニケーション」がクリアできない、という状況だ。

ってことで、知的の特別支援学校の児童生徒で「1.端末操作」「2.コミニュケーション」をクリアできるお子さんがそもそも少ないという点も難しい点なのだが、そこを通過できるお子さんにオンライン学習をしよう、と思ったときに「3.ニーズにあった教育活動の提供」もさらに難しい。

そもそも知的の特別支援学校に通うお子さんの多くは、抽象的活動が苦手な子が多い。なので、特別支援教育の多くは「具体的活動」「体験的活動」ってことで実際に物を触ったり、作業を一緒にやったりしながら学びを得ていくのが王道だし、適切な指導法だと思う。これが本当にオンラインだと難しい。去年の最初の休校時には、作業学習の様子を動画にして子供に見てもらったりした作業班もあったようだが、当然担当職員の感想は「手応えはまったくない」といった感じだった。

 

特別支援教育のオンライン学習でのハードルをなくすためには?

 

ってことで、今、おそらく通常の小中学校でやっているようなオンライン学習の形態は、今の特別支援学校に通う多くのお子さんたちにはほぼ授業として成立しないってことになる。

多分特別支援界隈のオンライン学習を今後やるとすると、「1.端末操作」「2.コミニュケーション」「3.ニーズにあった教育内容」を家庭でも支援してくれる存在が必要になるだろう。つまり、オンラインで学校側が日常生活の指導として、「きれいに手を洗おう」といった単元を発信したら、家庭での支援者が一緒に端末を操作しながら、その子と一緒に手を洗う活動をしてくれる、みたいな感じだろう。多くの場合それはその児童生徒の保護者になるのであろうが、そう考えると特別支援界隈のオンライン学習は保護者への負担もめちゃくちゃでかくなる活動となり、頭を悩ませてしまう。

 

これは蛇足かもしれないが、特別支援学校って、教育もそうだけど、家庭支援の側面もめちゃめちゃ大きい。要は障害をもっているお子さんを、言い方難しいけど「預けられる」場所になっていると思うから、「学校休校なんでお家で見てください」っていうのは結構気が引ける。障害をもっているお子さんの教育って手間と時間がかかるから

 

あるいは、「1.端末操作」「2.コミニュケーション」を必要としないような学習をオンラインで発信するっていうのが、理屈的にはなるんだろうけど、そんなことって本当に可能なのか?っていう疑問が自分自身でまったく解決できない。

 

とりあえず、勤務校では「希望者にはオンライン学習を実施する」という対応で保護者に通知を出している。現状、希望を出してきている家庭は少ないが、もしかしたら「学校に期待していない」ってことなのかもしれないし、前述のように「保護者の負担が増えるだけ」と思われているのかもしれない。

 

今、学級の担任間(特別支援学校は1学級に担任が複数名います)で「何をどのように」学習していくかを必死に考えている。

 

「そんなこと、この1年間で考えとけよ」っていう指摘はまったくもってそのとおりなんだけど、この1年、1回めの休校明けからはバタバタと学校生活が始まってそういう思考になれなかったのもあるし、コロナが再拡大して少なくとも休校にはもうならんやろ、という楽観論が学校内にあったのも否めない。まぁ一生懸命やれることをやるけど、正直休校早く明けてほしいってのが本音。もちろん、子供の安全が担保されないまま学校再開してしまうのはよくないとは思っている。ただ、休校期間が続けば続くほど、特別な支援が必要な子どもたちとそうでない子の格差が広がり続けるような気がしてならない。

結論ないけど、そんな感じ。