グレ教員の日々の感想

学校嫌いな小学校支援学級教員。日々の思いを忘れないように書くブログ。子育て、学校、読んだ本とか。専門は発達障害支援。

【認定試験】全員合格叩きは不当だと思う。

教免の試験が『全員合格』!?

台風、大変でしたね。被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。
 
私も関東在住なので、昨夜は怖い思いをしながら過ごしましたが、事前の対策も講じて、幸いにも殆ど被害なしで済みました。ライフラインも我が家においては異常なしです。(近隣の住宅では停電等はあったそうです)
 
 
さて、台風の影響で、昨日10月12日(土)に行われる予定だったイベントが全国的に中止もしくは延期になっていたと思います。
 
その中で話題になっているのが、「小学校教員免許認定試験(2次試験)」。
 
台風で流れるのは仕方ないのですが、その試験の扱いが「受験者全員合格」という判断になっていて物議を醸しております。
 
以下記事引用

 小学校教員資格認定試験は、教職課程を履修していなくても、教諭資格を得られる制度。二次試験は12、13日の2日間予定されていたが、「気象状況、鉄道等の交通機関の運行予定等を踏まえ、一部の会場で受験者及び運営職員の安全が確保できないことから、全会場で2日間とも中止と決定しました」と発表された。そのため、受験予定者は特例として全員合格にするとした。

   今回の決定にツイッターでは「延期じゃないの?」「普通延期でしょう・・・」と疑問視する声が相次ぎ、教員の質の低下を招くとの指摘も出た。

   今年度の出願者は917人。マークシートによる一次試験を経て、二次試験では、筆記、実技、口述試験が予定されていた。三次試験(指導の実践に関する事項に係る試験)は11月中旬に行われ、合格すれば小学校教諭の二種免許状が授与される。

   過去5年間の合格率は11〜14%で推移。試験実施事務は2018年度から文部科学省に代わり教職員支援機構が行っている。

 

 

実は私も過去にこの試験によって2種小学校免許をゲットしております。(そして、現在小学校教諭)それもあって、今回の処置への叩きが少し不当に感じることがあったのでここに考察を落としておきます。
私が過去に教員免許認定試験を受けた時の記事
 
結論から言うと、今回の運営の処置は「妥当」だと考えています。以下理由を述べていきますね。
 

不慮の「災害」であること

まず、今回の試験は遠足とか運動会とかじゃなく、雨天実施の「試験」です。基本的に予備日等が設置されるものではないってことです。
そのうえで、当日実施できない「災害」がやってきた。突然です。この上で、当日の試験ができない場合の処置をどうするか、運営側はとても迷ったと思います。今回の処置が「苦渋の選択」であったことは紛れもないでしょう。
前提として、「想定の範囲外の仕方ない状況」であることは頭に入れる必要があると思います。
 

「延期」という選択は?

結論から言うと、現実的に考えると「ありえない」と思います。この試験(特に2次試験)って、見た限り実施めちゃくちゃ大変なんですよ。実技があるのででかい体育館をおさえなきゃいけませんし、人員確保(私が受験したときは東京学芸大学の学生だと思われる方がたくさん協力してくれていました)しないといけませんし。
急に「台風で試験飛んじゃったね。じゃあ来週やりま~す」なんてできるものでもないです。あ、あと全国同日実施なのに会場めちゃくちゃ少ないです(全国で6か所!)。各会場でも地方から前泊してる受験生とかザラだと思います。事前に予備日の告知もなく、受験生900人を振り回す「延期」なんて簡単にできることではないかと思います。
ちなみにこの試験には3次試験があり、その日付が決まっています。2次試験と3次試験の間で、新たに日程をとって合否判定して、各受験生に通知して・・・が現実的じゃないのは運営側の視点になればわかると思います。2次試験「全員不合格」はもちろん無理ですね。これは受験生側の視点になれば承服できるものではないですからね。
 

『全員合格にしたら、教育の質ガー!!』

教育の質による影響、ないです。笑。
 
まぁそれは言いすぎだけどそれでも「ほとんどない」レベルだと思う。私がそう思う理由は大きく以下の2つ。
 

①教員採用試験ではないから

まず、この試験ですが、「教員免許」を取得するものであって、「教員として雇われるかどうか」の試験ではないのです。正規の小学校教諭になるためには、各自治体が実施する「教員採用試験」に合格しなければならないのです。そして教員採用試験が「全員合格」になることは台風であってもそうそうないと思いますので。それとごっちゃにしている人が多いな~、とは思います。
 
正直、今の「教員免許」って「教員としての質」を保証するものになっていないと思いますよ。教育の質を言うなら「認定試験」そのものの是非に言及するならまだわかりますけどね。
だいたい、今は免許なくても教壇に立っちゃう時代です。本校でも「中高の免許しかないけど臨時免許で小学校の担任(講師)をする」とか平気で行われているし、ほかの自治体でも少なからずあるでしょう。
教育の質を「試験」に求めるなら教員採用試験以外意味がない、と私は今の教育界の現状みて思っています。
 

②3次試験があるから。

実はもともと教員免許(中高)を持っている人は「3次試験(正確には「指導の実践に係る試験」)免除」になっており、2次試験をパスすれば小学校免許ゲット!となるわけですが、そもそも教員免許を何かしらもっているので、この試験の結果がどうあれ教員にはなれる状態なんですよ、その人って。
そして、教員免許をもっていない人は3次試験があります。この試験が実は一番「教育の質」に関係するような内容になっているので、一応「最後の砦」がまだ残っている状態です。
 
あと、2次試験の内容って、実技とかあって重要ではあるんですけど、対策すれば難関ってほどではないですし(少なくとも小学校で働きたいならこれくらいできてほしいってレベル)、1次試験のペーパーの方が難しいと思いますけどね。
 
 
引用させていただいた報道では上記の点は言及されていないですけど、教育叩きたいだけ、あるいは取材不足かな~、と思いました。
ただ、この点は教育界にいないとわかりにくい構造であることは否定できませんので、一般の方が叩きたくなるのはわかりますけどね。
 

結論は?

まとめると、私は今回の全員合格処置については
「全員合格は仕方ない!」
「教育への影響は、ほとんどない!」
と思ってます。
 
もちろん色んな考え方や視点あると思いますので、全然違う意見もいっぱい世の中にあるでしょうね。その人たちの不安や懸念も間違っていないとは思います。
そもそもこの「一発試験で教員免許がゲットできる」試験の是非自体が議論されるべきものではあると思いますし。ゆっても私自身ちゃっかりこの試験で小学校免許ゲットしていてなんですが。
 
ただ、今回、認定試験の運営殴られまくりなので少し書いてみました。運営の皆様、判断困ったと思います。本当お疲れさまでした。