グレ教員の日々の感想

学校嫌いな小学校支援学級教員。日々の思いを忘れないように書くブログ。子育て、学校、読んだ本とか。専門は発達障害支援。

【公認心理師】第3回 資格試験合格しました。

昨日2021年2月12日が第三回公認心理師資格試験の合格発表日でした。

 

公式HPの合格発表

http://shinri-kenshu.jp/support/examination/examresults_2020.html

自己採点では合格ラインに届いている感覚はあったのですが、まぁ実際に自分の受験番号を合格者一覧から探すときは鼓動が早くなってましたね。

 

 

合格発表前に「公認心理師試験」関係の本全部メルカリで売却していたのはちょっと総計だったと思ってますw

勉強に使った書籍は以下。

 

 

 ↑はkindle版もあるので紙と電子版両方持ってました。紙版は厚くて重いので持ち運ぶにはきついですが、電子版だとページ数多いので

 

 ↑勉強には結構役立ったと思います。予想問題は今年はそんなにあたっていなかった感覚があります。普通に心理師として知っておくべき内容は書いてあると思います。

 

 

まぁ何にせよ受かってよかった。

 

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「amazon 世界最先端の戦略がわかる」を読んだ感想

帰省をしない年末年始は最高。

久々にたくさん本を読んでる。

 

amazon 世界最先端の戦略がわかる

amazon 世界最先端の戦略がわかる

  • 作者:成毛 眞
  • 発売日: 2018/08/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

この本について

マイクロソフト代表取締役社長の成毛眞(なるけまこと)さんによる、誰もが知る世界的企業「Amazon」について解説している本。

2018年に発行された本なので、2020年現在のAmazonはこの本のときから変化しているが、「Amazonがどうやってここまで大企業になったか」という歴史書として扱いがいいかなと思う。

 

心に残った面白かった話

#1「品揃えが大量で、安い」を実現する仕組みとは より

 

◯「マーケットプレイス」という他企業がAmazonに出品できるシステム

これがAmazonの一番強いところ。

FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)というシステムがAmazonマーケットプレイスという『場』をより強くする。企業がアマゾンのインフラ(注文・出荷・管理)を利用可能。これを使うことで企業の販売のハードルがめちゃくちゃ下がる。中小企業を含めてあらゆる企業の商品を取り込む。企業側はFBAを使うことで「プライム」対象となるプライムマークをつけることができ、より売れやすくなる。

Amazon自身が、すべての商品の価格設定を握れる。低価格で売るのをどんどんやってくるので、他の小売業は太刀打ちができない。ここが「場」のみを貸している『楽天市場』とは違うところらしい。

 

Amazon楽天の違いでいうと、Amazonはずっと「購入者」の幸福度が上がるようにサービスを通してきた。楽天は、『場』を貸すところであったため、出品業者が使いやすいように動いてきた。

Amazonの顧客は「購買者」、楽天の顧客は「出品業者」。その違いが購買者がAmazonのほうが満足度が高くなる理由であるってことも書いてあった。

 

Amazonは「兵站企業」

Amazonのプライム会員だったり、どこよりも安い価格設定だったりなど、私達のライフスタイルに入り込む形で事業を展開する。

アマゾンがなかったら生活できないかも、と個人はもちろん、多くの企業が思うくらいになるのがAmazonの戦略。

 

 

#2 キャッシュがあるから失敗できる より

◯アマゾンは利益を計上しない。

 

Amazonの強さは利益をほぼすべて設備投資にまわしている。

創始者ジェフ・ベゾスは「意図的な赤字」をしている。

Amazonは株配当なし(!)

 

Amazonには大量の現金がある。

マーケットプレイス」による商品の代金は一時的にアマゾンに入るので、手元にある現金で投資やM&Aの資金にする。

 

#3 アマゾンで一番利益をあげているAWS より

 

AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)

 

これは全く知らなかった。

企業向けクラウドサーバー貸し出しサービス。

サーバーというのはネットビジネスをする企業にとってめちゃくちゃコストのかかる設備投資らしい。それを今までは多くの企業が自前でやっていたが、Amazonが大量にでかいサーバーを用意して各企業に貸し出す。企業側からしたら安く質の高いサーバーを使うことができる。

マクドナルドやネットフリックスといった大企業もAmazonのサーバーを使っている。

最近ではCIAも顧客になっているらしい。日本でも日立製作所やキャノン、UFJ銀行などの大企業も利用している。

 

実はこれがAmazonの一番の利益になっているらしい。そして、この部門でAmazonに勝てる企業はもうないらしい。IBMでもGoogleでも無理なんじゃないか、って書いてあった。Amazonの主力事業がサーバー屋だったとは普通に生活してたら知らないんじゃないかな、って思う。

 

 

本の感想

 

ページの厚みの割には読みやすい。

当然私自身も大変お世話になっているAmazonの話。普段めちゃくちゃ使ってるのにのに知らないことばっかりで「テレビの仕組み」とか「虹ができる仕組み」みたいな本が好きな人は経済興味なくでもそこそこ読める気もする。

 

著者は、10年後の経営学の教科書にAmazonは絶対取り上げられる、と話している。私自身は経営学に特段興味がなくても、雑学として普段使っているAmazonの内部の動きは普通に面白かった。

 

また、本書は専門用語等を使わないようにわかりやすいように書いたとのことで、ビジネス書に明るくない私にもほぼ理解できないところはなく、スムーズに読めた。

 

プライム会員の話は自分ごととして

私も入会しているプライム会員サービスだが、実はアマゾンの中でも、日本は世界規模でもプライム会員の売上が多いらしい。アメリカ、ドイツ、に次いで3番目とのこと。

アメリカでは、入会員数が増えるにつれ、会費がどんどん、上がっていったらしい。生活になくてはならないものになればなるほど、値上げしても客が減らないってことになるとか。

 

アメリカではサービス開始当初は年間39ドルだったものの、今は年間119ドルくらいになっているらしい。

日本でも、長期的には年間10000円くらいになるのでは、という著者の予想があったが、その値段なら日本人は入らないんじゃないかな、という感想。

 

今んとこプライムには月500円くらいの会費を払っている。これは送料1回無料にしてもらうだけで元取れるし、プライムビデオを無料で見続けることができて普通においしい。(欲をいえば子供向けコンテンツもう少し増やしてもらえるとありがたいが、それでも破格の値段なので)

 

私は月額1000円くらいになったならなら退会の検討をするのかもしれない。プライムの最速配達も便利は便利だが。

 

まとめ

一時期は時価総額で世界1位になったAMAZONの秘密がわかりやすく書かれていた本。

読み物として普通におもしろかった。

叩かれるなら今まで黙っておいた「世の中の真実」を読んだ感想

 

 

2ちゃんねる」創設者の西村博之さんの最新著。

AIのこととか、仕事の話、日本の政治の話など、ひろゆきさんらしく最近の社会情勢についての意見を順不同に出しています。

 

内容としてはひろゆきさんのYoutube生放送で言っている内容に、出典や根拠をつけてまとめた内容になっています。ひろゆきさんの放送をよく見ている人は、「あ、この前の放送で言ってたな」っていう内容が多いと思います。

 

本人さんいわく「僕の話したことがある内容をライターがまとめただけ。自分は『はじめに』『おわりに』しか書いていない」と放送でよく言っていますが、その通りなんだろうな、という感想です。

 

新たな発見は少なかった

 

前述したように、内容としてはひろゆきさんがYoutubeライブでよく言われていることをまとめた感じになると思います。

巻頭では黙っておいた「不都合な真実」という内容ですが、ひろゆきさんの放送では全然黙ってなくてよく言っていることばかりんですよね。

 

犯罪を犯しても捕まらない「上級国民」の話や、「遺伝」と「知能」の関係性、など、はじめて聞く人にはおもしろく聞けると思いますが、ひろゆきさんファンであればあるほど、聞いたことある話題が多くなると思います。

 

 

一貫したテーマがなかった。

前作「凡人道」では、1冊通して一貫した軸があり、読み終わったあとに、心に残る「軸」がありましたが、今回の本ではそういったものは感じませんでした。何も考えずにだらだらと読むのには向いていますが、それならひろゆきさんの放送をBGMで聞いてたほうがいいかな、って感想です。

 

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読みやすい。

難しい言葉を使っていないので、非常に読みやすいと思います。

ひろゆきさんの放送を見たことなくて、社会に対して自分と違った視点を得たい人にはおすすめ、ってとこでしょうか。

 

 

まとめ

ひろゆきさんの放送をよく見ている私にとってはあまり、得られるものはありませんでした。まぁそれだけ私がひろゆきさんのファンだってことなんでしょうけどね。

iPadAir4を小学校教員が2ヶ月使ってみた感想

 

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2ヶ月使ってみたけど、普通にいいなと思います。個人用タブレットを学校で指導に使ってる職員にもおすすめできる。

ちなみに業務用の無印iPad(第6世代?)いくつかあるけど、校内で争奪戦激しいし、ApplePencil使えなかったりするから、私は私物を指導に使ってる(管理職の許可得てます)。

 

良い点

◯持ち運びがぎりぎりできるサイズ感。私みたいにアクティブに動かないタイプの職員ならいいかも。女性用の小さいかばんには入らないから、miniのほうがおすすめかも。

 

◯画面が広くて子供に見せやすい。個別指導とかで図とか写真見せやすい。

 

◯スピーカー普通に音きれいだと思う。Proと比較してないから信憑性ないが、無印iPadとはぜんぜん違うと思う。私の教室ではラジカセ代わりになってる。

 

デメリット・気になる点


◯ApplePencil露出してる

磁石で本体にくっついてるからそのまま持ち運びがちだけど、ちょっとぶつかった拍子に普通に外れる。そして落ちる。学校の中で落としたら悲惨。私は怖いから移動時は上着やかばんのポケットに割と入れてる。

 

◯Touch IDがイマイチ。

学校ではマスクしてるから、ってFace ID仕様のiPadProを避けたはずだったが、Air4のTouch IDは購入時の印象から変わらずやっぱり微妙。

Air4は右上のボタンにTouch IDがのってて、その分画面が広くなる、って考え方だけど。なんか位置がうまく決まらんのか、解除率はホ

ームボタンにTouchIDがのってる無印iPadに負けてる(グレ教員の体感)。

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iPadAir4のTouch ID

 

あと、細かいこといえば、ロック時のパスワード再要求が「即時」しか選べないのなんでなんやろ。無印は「5分後」とか「15分後」とか選べたのに。子供に貸したときに、間違って電源ボタン押してしまったとき、「センセ

ー、ロックかかっちゃいました〜」ってめんどい。

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まぁそんなとこかな。

 

プライベートで使う分には基本的にいいデバイスかと思ってます。

ApplePencilの充電から解放されたのは地味に大きい気がする。

値段はそんなに安いとは思わないけど、使用の満足感は高いかな。

公認心理師の勉強もはかどったよ。

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画像はイメージです。

 

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2020年も早かったですね。

現職小学校教員の第3回公認心理師試験の回答を晒す(午後)

※第三回公認心理師試験の模範解答ではありません!!

 

先週、公認心理師試験を受けてきました。

自己採点をしてみたので晒してみる。

予想は自己分析と一部の予備校解答速報を参考にしています。なので、必ずしも◯予想は正しくはないです。

 午前の感想はこちら。

karly1008.hatenablog.com

 

グレ教員

の回答

予想

問78

2

問79

4

問80

4

問81

5

問82

5

問83

5

問84

4

問85

4

問86

3

問87

3

問88

3

問89

1

問90

4

問91

5

問92

3

問93

4

問94

1

問95

5

問96

5

問97

4

問98

5

問99

5

問100

2

問101

1

問102

2

問103

3

問104

4

問105

2

問106

4

問107

3

問108

3

問109

1

問110

5

問111

3

問112

3

問113

4

問114

2

問115

3

問116

1

問117

5

問118

1

問119

5

問120

4

問121

5

問122

4

問123

3

問124

4

問125

1

問126

1

問127

1

問128

4

問129

2,4

問130

1,5

問131

1,2

問132

1,5

問133

2,5

問134

2,3

問135

1,2

問136

3

問137

5

問138

5

問139

4

問140

2

問141

2

問142

4

問143

3

問144

3

問145

1

問146

4

問147

5

問148

3

問149

3

問150

1

問151

2

問152

3,5

問153

1,4

問154

3,5

 

午後も午前と同じく115満点で、予想得点としては75点になります。(正答率65%)

正直、試験当日に受けている時点では「難しすぎ・・・。」「終わった・・・」と思ってました。全く見当がつかない、選択肢を一つも消せない問題もたくさんあって、手応えがまったくなかったですね。

 

ただ、結果的にはまぁまぁ答えられたのではないかと思っています。

点数が高い事例問題が思いの外、あたっていたのが良かったです。

 

合格ラインは総得点の60%と言われてるので、午前午後を合わせると合格ラインには届いている計算になりました。

もちろん自己採点が間違っている可能性は大いにあると思うので、公式からの合否判定を待とうと思います。

 

ただ、一旦、公認心理師の試験勉強はストップしようかと思います。

公認心理師の試験勉強って範囲広くて、そんなに面白くないと思える分野も多いので、生活の余暇部分を受験勉強に割くの辛かったんですよね。

まぁ不合格だったらもっかい勉強しないと行けないんですけどね。

現職小学校教員の第3回公認心理師試験の回答を晒す(午前分)

※第三回公認心理師試験の模範解答ではありません!!

 

先週、公認心理師試験を受けてきました。

自己採点をしてみたので晒してみる。

予想は自己分析と一部の予備校解答速報を参考にしています。なので、必ずしも◯予想は正しくはないです。

 

 

 

 

グレ教員

の回答

予想

問1

2

問2

3

問3

2

問4

4

問5

1

問6

2

問7

1

問8

5

問9

5

問10

4

問11

1

問12

3

問13

4

問14

5

問15

4

問16

2

問17

5

問18

4

問19

2

問20

2

問21

5

問22

5

問23

4

問24

2

問25

1

問26

4

問27

1

問28

4

問29

4

問30

4

問31

4

問32

3

問33

3

問34

4

問35

5

問36

5

問37

2

問38

3

問39

4

問40

3

問41

2

問42

4

問43

4

問44

1

問45

4

問46

3

問47

1

問48

4

問49

3

問50

2

問51

1,3

問52

1,5

問53

1,4

問54

4,5

問55

2,4

問56

3,4

問57

3,5

問58

2,3

問59

5

問60

2

問61

4

問62

4

問63

5

問64

5

問65

2

問66

3

問67

1

問68

5

問69

5

問70

5

問71

2

問72

2

問73

1

問74

1

問75

1,5

問76

4,5

 

 

午前中は115点で、予想得点としては76点になります。(正答率66%)

 

合格ラインは総得点の60%と言われてるので、午前中の結果は自分としては上々かなと。

受験当日も比較的手応えあったような感触はあります。

午前中だけは・・・・。

 

個人的には、(問5「遊戯療法」の問題)でA.Friudを完全に失念していたのが痛くて覚えているのと。

 

問7「統計」の問題試験時間120分のうちの20分位を使って理論でめちゃくちゃ考えて正解した1点が自分の中ではファインプレーだったな、と思ってます。

 

問7 統計的仮説検定の説明として、正しいものを1つ選べ。

① t検定では、自由度が大きいほど、帰無仮説の上側確率に基づく棄却の限界値は小さい。

② 2つの条件の平均に有意な差が認められない場合、それらの平均には差がないといえる。

③ K.Pearsonの相関係数が0.1%水準で有意であった場合、2つの変数間に強い相関があるといえる。

④ 対応のない2群のt検定では、各群の標準偏差が大きいほど、有意な差があるという結果が生じやすい。

⑤ K.Pearsonの相関係数の有意性検定では、サンプルサイズが小さいほど、帰無仮説の上側確率に基づく棄却の限界値は小さい。

 

 

自分で言うのも何だが、頑張ったと思います。過去問でも、ここまでわかりにくい選択肢はなかったんじゃないかな。多分、参考書をさらっとなぞるような勉強をしていたら完全に勘になったと思います。

統計にはめちゃくちゃ詳しいわけじゃないので「上側確率」「限界値」みたいな言葉はほぼ理解していなかったのですが。

帰無仮説」とか、「標準偏差」を理解しているつもりだったので、周辺知識をフル動員して最後は①以外の選択肢を消せたのがよかったかなと。

 

午前を受け終わったときの感想としては「お、イケる・・・?」と思ってましたね。

 

午後の感想はのちほど。

 

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特別支援の教員の私が「筆算の定規強制」を忌み嫌う理由。

小学校で、筆算で横線を引くときに「定規を使う」ことを強制する担任の多いこと多いこと。

SNSで出回る「トンデモ採点の写真」で、「筆算で定規を使わなかったら減点」というのを見た時、「んなアホな」と思っていた私だったが、つい最近私の勤務校でも同じ採点をしている教員をみかけたので、実際に「トンデモ採点」は沢山いるんだと気づいた。

 

 

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私の考えだが、「筆算の定規使用強制」は得られるメリットの他にデメリットが大きすぎるので、基本的に「強制」すべきことではない。もし何も考えずにやってしまってる教員の人は、思い直してほしいと思っている。また、子育て中の親御さんで、自分の子の担任が「定規強制派」の人間だった親は本当に気をつけて、自分の子供の健全な発達を守ってほしいと考えている。

 

筆算で定規を使う薄〜いメリット2つ。

メリット①ノートがきれいに見える。

私はノートがきれいに見えることをメリットと思っていない。が、多くの小学校教員はノートがきれなこと、がとても大事なことだと思っていそうだし、「定規使用」を推奨してる先生ってもれなく多分そう思ってる。きれいにノート書いてたらなんとなく頭よさそうに見えるよね、でもそうじゃないよ。

 

メリット② 桁をそろえやすい

私の考えられる範囲ではこれが一番の定規を使うまともなメリット。

特に掛け算や割り算の筆算で、小学生は結構桁を間違えて計算しがち。特に位取り。

桁の間違えは、横線が斜めに書かれることによって起きがちなので、まっすぐ横線を引く、という意識をもたせるのは重要。そのために「定規使用」を推奨するのは、まぁ合理性はあると思ってる。

 

定規強制のメリットなんかほとんどない。

思いつく限り、上にあげた2点くらいしか定規を使わせるメリットがない。ノートがきれいかどうか、と算数の力って別物だし、「桁を間違えないようにする」ためなら、定規を使用しているかどうかではなく、桁をそろえて書いているか、を評価すべきだ。幸い、ほとんど小学生は算数で方眼ノートを使用していると思う。方眼紙のマスをちゃんと使い、定規なんぞなくてもまっすぐノートのマス目に沿って線を引く意識をもたせるべきだ。そのほうが今後よっぽど役に立つ。

 

 

 

筆算で定規を使わせる大きすぎるデメリット2つ。

メリットが少ないだけなら、私はまぁ流せる。小学校にはメリットが少ない謎のルールは多いし、納得はできんが全部にいちいち突っかかってはいない。ただし、「定規強制」おめーはだめだ。デメリットが大きすぎる。看過できない。

 

デメリット①子供のリソースが奪われる。

上にあげた定規使用のメリットは「きれいに見える」「桁間違えない」の2点くらいしかない。逆に言えば、「フリーハンドでそれなりにまっすぐな線が書け」たり、計算に慣れてきて「桁を間違えることがない」児童にとっては完全に無駄な作業である。

 

10分で定規を使って6問の計算をきれいに書く児童と、10分で定規を使わずにパッパッと10問の計算を終える児童、どっちが学習の効果が高いか、わからん人はいないだろう。

上の例は大げさではなくて、小学校高学年の計算だと、本当に「定規使用」と「定規未使用」のスピード感はこれくらいある。割り算の筆算とかだと、1つの計算で横線が3回くらいでてくるから、その都度、定規を出して〜、合わせて〜、引いて〜、定規しまって〜、なんてやってたら結構な差が出てくる。

 

やって無駄なこと、を子供に強制するとか虐待に近い。

 

デメリット②理不尽な「バツ」は子供のやる気を削ぐ。

計算を一生懸命やって、答えも出したのに、「定規を使っていないからバツ」なんていうのは愚の骨頂。どう考えても子供のやる気はさがる。バツつけられて「勉強っておもしろい」という思考の子供は全体の数%だろう。小学校で「勉強はつまらないもの」と子供に誤解させるような行為が今後その子の人生にどれだけ悪影響を与えるのだろうか。少し考えてみるといい。

 

被害者は算数が苦手な子たち。できる子たちは対応する。

ひとつ言っておくと、いわゆる「できる」子達には、実はそんなに目に見える実害はない。理由としては、「できる子は」そもそも使えるリソースが多いから。定規で無駄なリソースを削られたとしても計算したり思考したりする余力はある。

もしかしたら、定規を使わされていたとしても、大した負荷だとは感じていないかもしれない。これが定規強制を推す教員が勘違いしているのかな、と思うが、できる子たちを見て「定規をちゃんと使っているから、できるようになった」と思っていないだろうか。実際は「できる子は定規を使わせても問題なくできる」であり、きっとその子たちは「定規がなくても問題なくできる」のだ。

 

かわいそうなのは算数の計算に自身のリソースの多くを割かないと行けない「算数が苦手な子」だったり、「道具の操作や書くことが苦手」な子たちだ。この子たちは、定規で線を引く、という至極どうでもいいことのために、本当にやりたかった算数の計算に多大な影響を受ける。この子達が計算のたびに負荷を書け続けられていることを想像してほしい。今後その子達が算数が得意になったり好きになったりすることがあるだろうか。

 

ちなみに「定規強制で被害を受ける子」には所謂グレーゾーンと言われてたり、発達障害と言われている子達が多く該当する。彼らは、得意なことと苦手なことの凸凹が激しく、苦手なことの影響を多大に受けるからだ。

これは私が特別支援コーディネーターで、学級のグレーゾーンの子を観察する機会が多い特から気づけたことかもしれない。もし、小学校教員の方で、自分のクラスで筆算での定規使用を推奨したり強制したりしているならば、一度自分のクラスの「苦手な子」の計算の様子を観察することをおすすめする。

 

「定規強制」は誰も得しないシステム。

まとめると、「筆算での定規強制」はできる子には大したメリットはないし、できない子にはめちゃくちゃ負担をかける、という地獄みたいなシステムだと私は主張する。年収低い人にダメージがでかい消費税増税に似てるな、と思ったけどまぁうまい例ではないので流してほしい。まぁ言いたいことは、「いますぐやめるべき」システムだということ。

 

「見やすいように書く」ことが意味のないことではない。

「他人に見てもらう」前提のものを見やすく書く、という指導は必要だと思っている。自分がなにか素晴らしいことを考えていても相手に伝えられなければ意味はないからだ。

私がいいたいのは、算数で筆算をする目的は「他者に伝える」ことだろうか?「筆算をきれいに書く」ことがそんなに重要か?ということである。指導する側は、「定規によってきれいに書かせる」ことを一律に指導することで、「算数嫌い」を量産してしまってはいないだろうか。もしそうならそれは本末転倒だ。「きれいに書かせる」練習については、それが重要な場面(ポスター作成や作文など)でそれを指導すればよいのではいい。

 

なんのために?もう一度考えて。そして子供に伝えて。

もしあなたが教員で「定規強制」をしてしまっているなら、それによって「子どもたちは何が得られるのか」「何か不利益になることはないのか?」をもう一度考えてほしい。

もし、考えた上でも(私としては残念であるが)算数の「定規強制」が必要なことだと思うなら、そのメリットをせめて子供や親御さんに伝えてほしい。理由があれば少しは納得ができ、理不尽だと思わなくなるかもしれないから。

 

微力ながら救えた子供もいる。

少し余談だが、以前、私のところに通級指導にきている発達障害の子が「算数嫌い」だった。その子に一度、「きれいに計算をしようとしなくていいよ」、「間違っても消しゴムを使わないでもいいよ」「筆算に定規なんかいらないよ」など、計算以外の余計な操作を排除するように指導し続けたところ、あるときから算数の成績が向上し、それに伴い学習意欲が伸びてきた。

その子の両親にも家庭でも同様の指導をするよう示唆したところ「家では算数でも『きれいに書きなよ』という声かけを今まではしていた。確かにそういう声掛けをしたらいつも意欲がガクッと下がっていた。でも、学校ではきれいに書かないとバツになると思って、家でもきれいに書かせようと指導していた。」という言葉をいただいた。学校の「きれいに書きなさい」という指導が子供や家族を苦しめていた例だ。1事例ではあるが、まとめの代わりに紹介しておくこととする。。